小説感想 マイクル・コナリー「天使と罪の街」(上下巻)



天使と罪の街(上) (講談社文庫)

天使と罪の街(上) (講談社文庫)



天使と罪の街(下) (講談社文庫)

天使と罪の街(下) (講談社文庫)


元・ロス市警刑事の私立探偵ボッシュは、仕事仲間だった友の不審死の真相究明のため調査を開始する。その頃ネヴァダ州の砂漠では多数の埋められた他殺体が見つかり、左遷中のFBI捜査官レイチェルが現地に招致された。これは連続猟奇殺人犯"詩人"の仕業なのか?ボッシュとレイチェルは"詩人"の跡を追う。ラスヴェガスネヴァダ州の売春街、そしてロサンジェルス。追っ手をあざ笑うかのように捜査を撹乱する犯人。用意周到に計画された、その恐るべき企みとは?現代ハードボイルドの第一人者コナリーが描く壮大なサスペンス。



本作はボッシュシリーズ10作目にしてテリー・マッケイレブシリーズ3作目でもあり、かつ「ザ・ポエット」の完結編でもあるっつー何ともコナリー者にとっては豪華極まりない作品でございます。つーわけでもうこれ以上ないってくらいにワクワクテカテカ状態で読んだのですが・・・。うーん、その、何だ、面白いことは面白いんだけど、ええと、その、正直ボッシュシリーズとしてはちとイマイチな気がしないでもない。


サスペンス要素は桁違いに高いんだけど、単にそれだけっつー内容なんだよなぁ。ボッシュシリーズ特有の二転三転するプロットもちょっと不発気味だったってーのもあるけど、ストーリーが徹頭徹尾"詩人"との闘い(?)に終始しているだけなので展開的な驚きが何もないっつーか、メインキャラの"詩人"の目的もちとショボイっつーか。(まぁ完璧主義者だから、この狙いにこだわったってこともあるんだろーけど) 3つのシリーズをうまく纏め上げてはいるけど、相乗効果で高みへと登るってことがなく、単に並んだだけっつーだけっぽい内容になってしまったのがちと残念。


まぁ作品そのものとしては十分及第点レベルのクオリティーなのでとりあえず満足です。さて、これで現時点で残すボッシュシリーズはあと1作か・・・!よーやくここまで来たぞっ!(積読マウンテンの他のシリーズ作品から目を逸らしつつ)