小説感想 霞流一「死写室」



死写室

死写室


映画館、試写室、ロケ先&セットの撮影現場etc.で発生する、奇怪な事件の数々。密室、透明人間、斬首魔、建物消失などVFX級の謎に酩探偵・紅門福助が挑む!


シナリオ準備から、撮影、劇場公開、さらには殺人まで?読めば、映画製作の裏事情のすべてが分かる・・・・・・・・・かもしれない!?トリックとロジックの映し出す、驚異のシネマジック連作ミステリ。



映画業界を舞台にした連作短編集なんですが、さすがは霞流一氏。どれもこれも狂気とロジックが程よく入り乱れたミステリで大変美味しゅうございました。古い作品から新しい作品まで幅広く収録されているので、氏の作風(ギャグのセンス?)が微妙に変化していっているのが読み取れるのも中々面白かったとですよ。


徹頭徹尾エンターテインメントに徹した内容なので、さらりと読めて「ああ面白かったなぁ」と思える良書なのですが、読後に何一つとして残りませんので重厚さとか感動とか共感とか、とにかく読んだ後の何かを求める人にはちょいとオススメできないかな。刹那の快楽に身を任せられる人には超オススメですぜ。


個人的には収録作「首切り監督」がお気に入り。ああもうバカミス最高っ!