小説感想 北野勇作「ウニバーサル・スタジオ」



ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫JA)

ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫JA)


ここはウニバーサル・スタジオ。大阪をテーマにした楽しいアトラクションがあなたをお待ちしています。巨大タコが襲う水上バスの刺激的なライド、四天王寺の亀の池ではカメ型メカとザリガニ型怪生物の痛快なバトル、通天閣からは軌道上イカリングへの魅惑のツアーにお連れします。そして、阪神タイガース優勝を祝しての道頓堀ダイブも心ゆくまでどうぞ。いや現実には、人類滅亡まで二度と優勝できなかったわけですが・・・



いつもながら北野ワールドは素晴らしいですにゃ。今回は氏の持ち味でもあるノスタルジックな印象、っつーのはあまり感じられませんでしたが、それを上回るアイデンティティーについてのネタの充実度がかなりキてまして、もう読んでて「これSFじゃなくホラーでも通用するんじゃね?」的空恐ろしさを感じましたよ。カエルやらザリガニやらカメやらイカやら親しみやすいガジェットを用い、ときおりダジャレオチを使って笑わせながらも、読了後に残るこの微妙なもやもやした後味感はさすがとしか言い様がねーっす。


タイトルがタイトルだけにキワモノっぽい印象を持たれるかもしれませんが・・・(;´Д`) すげー面白かったですぜ。北野ファンならずともオススメできる作品かと。