小説感想 シオドア・スタージョン「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」



[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)


これがスタージョンだ───


超反射<シナプス・ベータ・サブ16>の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて・・・。
スタージョン的テーマが展開される表題作をはじめ、他人が必要としているものが読めてしまう男の痛切な物語「必要」、家出を決意した少年が故郷の待ちを出て行く道で奇妙な男たちに出逢う「帰り道」他、全6篇を収録。"奇想コレクション"第13回配本。



何か似たよーなテーマの作品集になっているのでイマイチ起伏に乏しいよーな気がしたのですが、どれもこれも中々に味のある作品だったので個人的には十分すぎるほどに満足です・・・つーか後味がいい(?)作品ばかりなので、読み終えた後は何かこう、とても暖かいな気分になれましたぜ。いやーな読後感を残す作品も大好きだけど、たまにゃぁ癒される作品も読まないとさすがに精神状態に悪いしね(;´Д`)


少年の心の変遷を追った渋すぎる作品「帰り道」、スタージョンの自伝っぽい感じの「午砲」、最後のセリフがツボにくる「必要」、ユーモアの味わいがステキな「火星人と脳なし」、普通にイイ話の表題作。そんなにぶっとんだ「奇想」を扱った作品はないので、SFとかあまり読まない人にも取っ付きやすいんじゃないかなぁ。


奇想コレクション既刊の「不思議のひと触れ」「輝く断片」とはまったく違った味わいがあるので、今までの作品が肌に合わなかった人もひょっとしたら楽しめるかも?