小説感想 夢枕獏「上弦の月を喰べる獅子」(上下巻)



上弦の月を喰べる獅子〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

上弦の月を喰べる獅子〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)


あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する・・・ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の世界観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。

上弦の月を喰べる獅子〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)

上弦の月を喰べる獅子〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)


人は、幸福せになれるのですか?野に咲く花は幸福せであろうか?───螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしない高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる・・・進化とは?宇宙とは?人間とは?究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。



やはり獏センセイは神。


獏センセイがその作家生活で培った伝奇的手法のアプローチをフル活用し、哲学的な要素ともゆーべき「人とは何か?」といったテーマに対しど真ん中から解答を出さんと試みた本書。その答えについてはまぁネタバレなのでここでは触れませんが、ワシとしてはとっても腑に落ちるものであり、またすげぇ感動したものでございますよ。ラストシーンでの某人とのやりとりにおけるグッとくる度は異常。


つーわけで説明無用のど傑作、ゆえに未読の人はさっさと読むがよかろうさ、と思ったNOBさんでしたとさ。いや、マジに獏センセイは神だぜ・・・!