小説感想 ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」



隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)


1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を───。キングが絶賛する伝説の名作!



ケッチャム大先生の中でも一番酷い(いい意味で)との評判を聞いて読んでみたのですが・・・。


た し か に こ れ は ひ ど い 。


ジャンル的にはホラー・・・否、サイコサスペンスになるのか?生き生きとしたキャラクター、テンポよくショッキングな展開、読みやすい文体もあってか「うわー・・・」と思いつつもぐいぐいとページを捲らされます。ページを捲るたびにヒロインの悲惨な描写がどんどんエスカレートしていって、目を背けたい、でも続きが気になる、っつー何とも極悪なリーダビリティっぷり。そして頑張って読了したご褒美ともいえる読後感は「最悪」と言ってもよいほどのシロモノで、 orz としか言い様が無い作品でございました。


賭博黙示録カイジの兵頭会長はこう言いました、

つまり・・・わしは生涯人を助けぬ・・・と、そう・・・ハッキリ決めておる・・・!
無論・・・金はある・・・湯水のようにあるがわしは助けん・・・!
なぜだかわかるか・・・?
実にここ・・・ここが肝心・・・!


折れた足をいじられると彼は痛いが・・・わしは痛まない…!


この一事だ・・・この一事だけが真実・・・!ここをどこまで理解してるかで人の成否は分かれる・・・!
いいんだよ他人がどう苦しもうと・・・まったく問題ない。唯一問題なのは自分の幸福だけ・・・!



「虐待しているのは知っているが、僕は参加していないから関係ない」と傍観を決め込むデイヴィッドの行動、虐待に参加した連中が、虐待した直ぐ後にお菓子くったりTV見たりしてフツーに過ごす日常など、やたらリアルちっくなところが地味に恐怖感をもたらすまさしく恐るべき恐怖の書。最低最悪のお話ですが、ぶっちゃけ面白かったのでみんな読んでみるといいと思うよ!思うよ!そしてワシ同様の orz 感を味わうがよいよいよい。