小説感想 ドゥエイン・スウィアジンスキー「メアリー-ケイト」



メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)


毒を盛ったから、あなた十時間後に死ぬわ───バーで飲んでいたジャックは、隣の席に座った美女の言葉に耳を疑った。さらに、解毒剤がほしければいうことをきけと言い、奇妙奇天烈な要求をしてくる。片時も離れず、女がトイレに行く時も一緒についてこいというのだ。やがてムラムラしたジャックは彼女に襲いかかってしまう。そんな馬鹿なことをしている間に悲劇は着々と進行し・・・予測不可能なタイムリミット・サスペンス!



バカだ!バカがここにいるぞ!


上記あらすじは何一つ嘘をついていません。ええ、ついてませんよ?でも大事なことも言ってないことも事実。その大事なことが何なのかっつーと、それは本作の大ネタであるが故に何も言えないのが残念無念極まりないところですが、これだけは言える。作者の中の人は頭おかしい何て愉快な思考の持ち主なんだ!と。しかも本書、恐らくは作者の中の人が大真面目にこのネタを繰り出してきているあたりがステキ極まりない。きっと夜中3時過ぎあたりに「これだ!この設定って今まで誰も思いついてないはず!ひゃっはー!オレって天才!」と天啓がおり独りテンション高く騒いだに違いなかろーて。


確かにタイムリミット・サスペンス・・・と言えないこともないけど、これはどっちかっつーとスラップスティック調のサスペンスだよなぁ。脳内で想像されるビジュアルがステキすぎて笑いが止まらんぜ。兎にも角にも粗筋からは予想もできぬぶっ飛んだ展開を見せる作品ですので、キワモノ好きなら是非とも一読を推奨したいところです。すんげー面白かったよ!ほんとだよ!