小説感想 相村英輔「不確定性原理殺人事件」



不確定性原理殺人事件 (トクマ・ノベルズ)

不確定性原理殺人事件 (トクマ・ノベルズ)


今から二十年前、昭和荘という木造モルタルアパートで殺人事件が起こった。被害者はアパートの住人、杉本哲夫。近所のスナック・ポーから自室に戻った直後に死体で発見された。検死の結果、死因は「絞頸による窒息死」と推定された。不可解なことに現場は完全な密室で、しかもそれは捜査が進むにつれてますます完璧になり、捜査線上に浮かんだ容疑者三人のアリバイもますます鉄壁になったのだ。不可能犯罪の迷宮にはまりこんだかにみえた怪事件は、時間と運動量の壁を超え意外な結末へと!?



だめだこりゃー(超さわやかな顔で)


いやーこれは酷ぇ。作者のやる気の空回りっぷりがただ事ではありませんぜ。「すげぇトリックだったろ?ん?」という作者のドヤ顔を想像するとちょっとどころではなくハートがペイン状態ですよ。


いやまぁトリックはそれなりに妥協範囲なんですよ。脱力・トンデモ系であることは間違いないところなんだけど、まぁ一応伏線張ってるし、「ま、まぁねぇ・・・」と目を逸らしつつも中々に独創的であることを認めるに吝かではありませぬ。だがしかし、その他が駄目すぎる。説明しまくりの文章は読みにくいというか読ませる気あるのか?というレベル。何かもう「せっかく調べたんだから書いたよ。何か文句ある?」と言わんばかりの内容ですよ。誰得。作者得。そして頭を抱えるしか無いキャラクター。地の文でキャラクターの性格やその他を延々紹介するのはよくないって小池御大が常日頃言ってるだろーが!(難癖) この文章とこのキャラクターでは読み進めるのが正直、その、辛い。ばりばり端折られちゃうよ。


そして極めつけはタイトルと内容がほとんど関連してない件。「不確定性原理」を謳うのならもっと関連させろよ!事件の端々でマックスウェルだのラプラスだの猫だのトンネルだのと触れるくらいじゃなくて、この辺をねちっこく説明しろよ!そしたら多少は深みが出たかもなのに!


えー、というわけで大いにオススメであります。みんなで幸せになろうよ。(うつろな目






というか裏表紙の作者近影を見るだけで何か笑いがこみ上げてくるのは何故なんだぜ・・・