夢枕獏「陰陽師 生成り姫」



陰陽師生成り姫 (文春文庫)

陰陽師生成り姫 (文春文庫)


十二年前の月の夜、源博雅芍薬の枝を差しだし去って行った謎の姫・・・安倍晴明は人の心にすまう鬼をいかにおさめるのか。陰陽師シリーズ初めての長篇小説!晴明・博雅が今回出会う魔物は鬼か蛇か!?



獏せンせの金字塔的シリーズ、陰陽師初の長編作品。「付喪神ノ巻」に収録されている短編「鉄輪」をベースに長編化した内容となっております。新聞連載作品ということでシリーズに触れたことない読者を想定したらしく、安倍晴明源博雅のキャラ紹介などをきっちりやっており、過去の短編のエピソードのエッセンスなども大量に盛り込ンでいるため「陰陽師」まだ読ンだことないなーって人は本書から入ってもいいかも。逆にシリーズ既読の人は「もう知ってるよそれ」ってくどい印象を受けるかもですが。


しかしさすが獏。というかもうこれは世界観とキャラクターの勝利と言えると思うのですが、晴明と博雅の二人がもうたまらぬほどの良い漢であり、こいつらが酒を飲みつつ粋なトークをしながらキャッキャウフフするのを読ンでるだけでもう楽しいことこの上ないですわ。というか博雅が良い漢すぎてラストシーンは泣ける。泣いちまう。この会話センスとビジュアルセンスは他の人間には到底真似できるものではなく、やはり獏せンせはただものではないなぁ。






「読もう」
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そういうことになった。