神林長平「あなたの魂に安らぎあれ」



あなたの魂に安らぎあれ (ハヤカワ文庫JA)

あなたの魂に安らぎあれ (ハヤカワ文庫JA)


火星の地下にひろがる破沙空洞市では、人間たちが絶望的なまでに単調な日々の暮らしに倦み果てていた。いっぽう放射線が降りそそぐ地上の門倉京では、人間に奉仕すべく造られたアンドロイドたちが、華やかな文明を築きあげていた。だが、その繁栄の陰で週末の予言が囁かれていた───「神エンズビルが天より下りて、すべてを破壊し、すべてが生まれる」と。『帝王の殻』『膚の下』へと続く3部作劈頭を飾る長編デビュー作。



よーやっと読み、神林長平氏の才能に戦慄したなど。


これまで「実はまだ火星三部作読ンだことないのよ(´・ω・`)」と言ったとたンに石を投げられるよーな状況であり、投げつけられる度に「イジメ かっこわるい」と思っていたワシなのですが、いやこれは確かに石投げられても仕方ありませぬわ。いやもうこいつぁすげぇ。今までワシ、神林作品は言語(というかコミュニケーションか)をモチーフとしたいわゆる「神林SF」的な作品しか読ンだことなかったのだけど、これはそれとはまったくベクトルが異なる作品でありまして「こーゆーのも書ける人だったンだ」と思わず不敬なことを思いまたも石を投げられ(ry というか本書もある意味コミュニケーション的なモチーフを扱ったものと言えるのかもしれませぬ。どの辺が、っつーとネタバレに近くなるので言いませンが(おい


「あなたの魂に安らぎあれ」と作中で繰り返されるフレーズ。最初はお決まりの文句みたいに思えたけど、話が進むにつれて意味合いが序盤とかなり異なってきて、最後の方ではもう「魂」というものについて思いを馳せざるを得ないよーな状況に読み手を誘う・・・そンなところにグッと来たワシでありました。いやもうこれはシリーズ続きが楽しみで仕方ない。