クリスティーナ・メルドラム「マッドアップル」



マッドアップル (創元推理文庫)

マッドアップル (創元推理文庫)


アスラウグは母とふたりで暮らしていた。野草を食べ、薬草を煎じる毎日。母が今日欲しがっているのは、毒のあるマッドアップル・・・。2007年、アスラウグにかけられているのは殺人未遂と第一級謀殺の容疑。ほんとうに彼女は母親とおばといとこを殺したのか?証言のたびに、浮かび上がる万華鏡のような事件の様相。真実は?全米図書館協会ベストブックに選ばれた、気鋭の処女作。



これはすげぇ。


ミステリか?と問われるとちょっと困ってしまうのですが、ジャンルを超えた面白さがありましてミステリ者にも普通に楽しめると思う・・・とゆーか、まぁ何ら問題なく楽しめる作品であると思います。序盤こそちょっぴり退屈ですが、中盤からは先が異様に気になる展開ですのでそこまで読み進められればあとはするすると読み進められませう。基本ストーリーの運びとしてはアスウラグの騙り→法廷(検事)→法廷(弁護人)→アスウラグの騙り(以下繰り返し)という作りになってますので、読み進めながら思ったことがころころと覆されて真相がぶれまくるというか「何が真実やねン」と思わされるのが本書の持ち味であると言えるのではないかな。つーか語り手のアスウラグが良く言えば純粋、悪く言えば狂人(普通の常識に照らし合わせると)でありますので「ほンとにそうなのかよ」という疑いがありミステリ的に言うところの「信頼のおけぬ語り手」というポジションであるところが色々と面白いところです。何が正しいのか、何が間違っているのか、常識とは何か、正気とは何か、狂気とは何かと色々と盛り込ンで終盤に雪崩れ込むこの結末の凄さは見事の一言。ワシとしては今年のベストクラスと断言いたしませう。


だが本の帯の文句を考えた人は斬首な。「毒薬」「処女懐胎」までは許せるとして、その先の言葉は結構なネタバレになるのであかンやろ・・・(´・ω・`)


つーわけでワシとしては大いにオススメしたいのですが、読まれる際には先入観無し、そして本の帯は見ないで読ンでくだされ。約束やで?