津原泰水「蘆屋家の崩壊」



蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)

蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)


三十路を過ぎて定職につけずにいる「おれ」こと猿渡が、小説家の「伯爵」と意気投合するに至った理由は、豆腐。名物を求め津々浦々を彷徨う二人に襲いかかる奇怪な現象。蘆屋道満の末裔が統べる聚落、闇夜に出没する赤い顔の巨人、蟲食う青年、そして湖の水牛。幽明の境に立たされた伯爵の推理と猿渡の悲喜劇の果てに現出する、この世ならぬ異景。書下ろし短篇を加えた完全版。



異色短編がお好きな方ならばきっとツボに入るはず。


語り口、キャラクターと割とユーモア溢れる話・・・なのですが、ユーモアの中に漂う不気味な雰囲気がたまらぬ短篇集。つーか異色短編というよりは幻想小説っつーのが正しいかな。「おれ」と「伯爵」のグルメっぷりには頬がゆるみますが(やたらと豆腐が食べたくなる本ですな)、ちょっとズレた日常というか、日常に潜みうる怪異というか、結構ビジュアル的にも精神的にも精神に迫り来る話ばかりでワシはこれを多いに愉しンだものです。というかこーゆー話大好き。奇妙な話バンザイ。幻想小説バンザイ。


というわけで異色な話がお好きな人、幻想小説がお好きな人ならばさぁ読むのですっ