小説感想 エドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ」



サム・ホーソーンの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)


時は1922年、医学校を卒業したばかりの青年サム・ホーソーンは、ある田舎町に診療所を構えた。彼はすぐに町の評判になる。それも、"不可能犯罪の専門家"として!パラシュートで降下中に絞殺されたスタントマン、行き止まりの廊下から消え去った強盗、"小人"というダイイング・メッセージを残して密室で殺されていた車掌など、多種多様な不可能犯罪を詰め込んだ、シリーズ初期の十二編を収録。また、特別付録として、ホックの代表作の一つであり、これまた不可解な墜死事件の謎を解く、「長い墜落」を収めた。不可能犯罪愛好家、必携の書。



不可能犯罪てんこもり。


もうお腹いっぱいっす、というぐらいに不可能犯罪が目白押しの短編集。
収録作全てが高クオリティというとんでもない短編集でした。
(ボーナストラックの「長い墜落」もグッド)
簡単に幾つかの作品についてコメントを。


<水車小屋の謎>
冒頭でさりげなく犯人のヒントを提示しているのがニクイ。


<十六号独房の謎>
フットレル「十三号独房の問題」のオマージュ的作品。シンプルな解ですが、ゆえに不可能性が際立ちますな。


<投票ブースの謎>
これが一番印象に残りました。謎の提示といい、解明といい、動機の問題といいパーフェクト。素晴らしい!


<古い樫の木の謎>
あらすじにもある、パラシュート降下中に絞殺されたスタントマンを巡る謎。解がわかれば何てことありませんが、この不可能シチュエーションには脱帽です。




これはかなりオススメ。
各作品ページ数が短いので、ちょっと空いた時間に読めるってのも魅力ですよ?
いやー、ホックすげぇわ。次もサム・ホーソーンものを読もうかな?