小説感想 エドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿Ⅱ」



サム・ホーソーンの事件簿〈2〉 (創元推理文庫)

サム・ホーソーンの事件簿〈2〉 (創元推理文庫)


サム・ホーソーンが、アメリカはニューイングランドの片田舎ノースモントに診療所を構えてから五年の歳月が過ぎた。この田舎町も少しずつ発展し、時代の移り変わる気配はあるものの、時折発生する不可能犯罪と、彼の名探偵ぶりは変わらなかった!レンズ保安官の結婚式で起きた密室殺人「八角形の部屋の謎」、ギャングに拉致されたサム・ホーソーンが人間消失の謎に挑む「ギャングスターの車の謎」など、『事件簿Ⅰ』に続く12編の怪事件を収録。そして、今回の特別付録は、エドガー賞を受賞した「長方形の部屋」。本格ファン必携必読の第二弾。



相変わらずの高クオリティー短編集。
「サム先生!事件に巻き込まれすぎです!」という突っ込みも多々あるとは思いますが(;´Д`)
本作も不可能犯罪てんこもりで大変愉快なお話でした。
つーか結構バカミス風味なのが個人的に大変ツボ。
収録作「伝導集会テントの謎」のバカっぷりといったらもうっ!超ステキ。(ぜひ映像で観たい)


やたらと印象に残ったのはボーナストラックの「長方形の部屋」。
これだけ不可能犯罪ではなく、いわゆる「ホワイダニット」を扱った作品だったのですが・・・。
近年では大して珍しくない動機になるのですが、まさか40年も前の本格で既に到達していたとはっ!
改めてホック恐るべし、と唸らざるを得ませんな。


ちなみに、本作は2002年度のIN★POCKET文庫翻訳ミステリーベスト10で1位になってるそーです。
本格の様式美に従ったとても美しい短編揃いなので、近年の日本のミステリに辟易している方には是非読んで欲しいところ。