小説感想 山田風太郎「笑い陰陽師」




甲賀忍者崩れの大道易者果心堂は、好奇心と向学心に富んだ天下のいたずら者。伊賀忍者だった美人女房お狛とともに出した見台を訪ねる客は、奇天烈至極な悩みを抱えた者ばかり。著者自身が「忍法帖の最高傑作」と認定する連作珠玉集!



忍法帖裏ベストに認定いたしまする。


いやーやっぱり山田風太郎先生は頭がおかしいですよ。(もちろん誉め言葉ですよ?)
甲賀忍法帖」「風来忍法帖」「柳生忍法帖」あたりとはまったくベクトルの異なった作品なので、同列に評価することはできませんが・・・。


それでも、間違いなく短編ではNO.1の作品集だと思います。(本作は連作短編集)


もう、アイディア・狂気度・おバカ加減、どれをとっても天下一品。
執筆時の山田センセイは何か悪いものでも憑いていたのかと思うくらい狂った(もちろん誉めてます)内容。これをエンターテインメントと言わずして何をエンターテインメントと言うのかッ!いや言わないっ!(反語)


本編は5編から構成されているのですが、一番ツボにきたのが2作目の「忍法玉占い」。
忍法で睾丸を移植するというバカバカしいにも程がある話。もう設定だけで死ぬほど笑ったのですが、作中でいきなり「───さて、作者が本編を着想したときに書こうと思ったのは・・・」と山風自らがぶっちゃける下りが最高にステキかつ狂っていて悶絶ものでした。


いやーこれは古本屋を巡りまくってでも読む価値がありますよ、うん。
講談社文庫には収録されていなかったと思いますが(勘違いならゴメンナサイ)、今どっかの出版社から忍法帖長編がリリースされ始めているので、ひょっとしたらそちらに収録されるかも?


今年度上半期ベストはコレで決まり?と言ってもおかしくないぐらいの傑作でした。
いやー面白かったなぁ!