小説感想 藤岡真「ギブソン」



ギブソン (ミステリ・フロンティア)

ギブソン (ミステリ・フロンティア)


果たして彼が向かったのは右の道か、左の道か、それとも正面の道か?───八月二日午前六時、待ち合わせの場所に高城秀政は現れず、そのまま失踪してしまった。敬愛する上司の行方を追う日下部の前に次々現れる、奇矯な人々と不可思議な事実。町内に出没する謎の消防車、血痕を残して消えた老人、生き別れの娘、正体不明の脅迫者。それぞれがパズルのピースのように結びつき始めても、杳として知れない高城の行方。大量のレッド・ヘリングに翻弄されながら、遂に日下部が直面した驚愕の事実とは?
ゲッベルスの贈り物』『六色金神殺人事件』の鬼才が四年の沈黙を破って放つ、待望の新作長編!



モジュラー型のミステリ、とでも言えばいいのかな?ミステリ読んでる人なら「クリスマスのフロスト」を筆頭にしたフロスト警部シリーズに似たような構成、と考えてもらえれば。とにかく冒頭から色々と事件が起こって、ストーリーの核に関係ある/なしが判明し、最終的に事象が多々リンクして落ちるべきところにストンと落ちるってのがこのタイプのミステリの魅力ではないかと思います。


で、本作。メインの謎は「高城秀政は何処に消えたのか?」。この謎を巡って作中かなり混沌とした調査・展開になるのですが、実は多々発生した事象はまったく関係なく、作中の人間が最後に気づいたある1点に着目することで事件は解決されたという何とも捻くれた展開が超ステキ!超イカス!(死語)


トータルとしての驚愕度は低いと思いますが…。いや、でも面白かったですよ。ミステリとしての完成度は高いと思いますし、リーダビリティも優れていると思いますので。