小説感想 野尻抱介「太陽の簒奪者」



太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)


西暦2006年、水星から突如として噴き上げられた鉱物資源は、やがて太陽をとりまく直径8000万キロのリングを形成しはじめた。日照量の激減により、破滅の危機に瀕する人類。いったい何者が、何の目的で、この巨大リングを創造したのか?───異星文明への憧れと人類救済という氏名の狭間で葛藤する科学者・白石亜紀は、宇宙艦ファランクスによる破壊ミッションへと旅立つが…。新世紀ハードSFの金字塔、ついに文庫化!



ファースト・コンタクトものに真正面から取り組んだ傑作。


リングについて「一体誰が何の目的で?」という謎が解明された時点でも、まだストーリーは3分の1程度という時点でまず驚愕。これだけの密度で、これだけのカタルシスを得たにも関わらずまだストーリー的には序盤かよ!? という内容の充実度はちょっと他にないですよ?謎に対する解とそのプロセスが素敵すぎ。


で、後半に入りこの作品の真のテーマが牙を剥き始めるにつれまた驚愕。序盤の展開を激しく上回るスケールに圧倒されっぱなしですよ!とことんまで手抜きがない描写、実に素晴らしい。


ワシのよーなSF素人にも実に楽しく読めましたので、「SFはちょっと…」という人にもオススメできると思います。いやー面白かった。