小説感想 貫井徳郎「プリズム」



プリズム (創元推理文庫)

プリズム (創元推理文庫)


小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓のロック。そして睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……平凡だった筈の女性教師の殴殺事件は予測不能の展開へ。万華鏡の如く姿を変える事件の様相、幾重にも繰り返される推理の構築と崩壊。究極の推理ゲームの果てに広がる瞠目の地平とは?『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んで話題を呼んだ問題作!



間違っても本格ミステリ素人は手を出すなッ!


本作はアントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」のオマージュ的作品なのですが…こいつぁそれ以上にマニアックな構成。ミステリ的カタルシスは皆無に等しいので、よっぽどのミステリ好き以外は手を出さない方がいいかと。


じゃあ重度のミステリ好きなら薦められるのか、と問われるとそれもちょっと困ってしまうのですが(;´Д`) 何しろこの手の「結末を読者に委ねる」タイプの作品は賛否がはっきり分かれるからなぁ…。ワシはこの手のは結構好きだけど。(「結末を読者に委ねる」と言っても東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」「誰かが彼を殺した」みたいに考えれば最終的な解に到達する、といったタイプではないのですが)


個人的にはかなり面白く思いましたが、人選ぶよなぁ、コレ。読了後のモヤモヤ感は是非皆様にも感じて欲しいところですが…。(それも作者の計算づく、というのがニクイ)