小説感想 貫井徳郎「失踪症候群」



失踪症候群 (双葉文庫)

失踪症候群 (双葉文庫)


「若者たちの失踪の背後にあるものを探って欲しい」依頼に応えて、環敬吾はチームのメンバーに招集をかけた。私立探偵・原田柾一郎、托鉢僧・武藤隆、肉体労働者・倉持真栄。三人のプロフェッショナルが静かに行動を開始する。暴かれる謎、葬りさられる悪。ページを捲る手が止まらない『症候群』三部作第一弾!



面白いけど物足りん。


作品のコンセプトは「法で裁けぬ悪を裁く」。ぶっちゃけ「必殺仕事人」です。現代劇で「必殺」ってのはちょっと無理があるんじゃないの?と思ったのですが…。そんな心配は杞憂にしか過ぎませんでした。設定の妙と突出した文章力、謳い文句通りページを捲る手が止まりませんよ。さすがだ貫井徳郎


でも。


えーと、特に重いテーマを扱っているでもなく、全体的にエンターテインメントしていたので面白いとは思うのですが…。
何て言えばいいのかな、骨太さが足りないとでも言えばいいのかな。扱っている事件が少々ショボイ、というのもあるんでしょーけど…。何かカタルシスに欠けるなぁ、と。


まあその分シリーズ2,3作目が異様に骨太になっているんですけどね(;´Д`) シリーズ1作目ですし、単純なエンターテインメントとしてこれはこれで良いかな。面白いことに間違いはないし。
本書を手に取った場合は、必然的に「誘拐症候群」「殺人症候群」まで読み進めることになると思われますので、その点はお気をつけください。(何にだ)