小説感想 貫井徳郎「誘拐症候群」



誘拐症候群 (双葉文庫)

誘拐症候群 (双葉文庫)


警視庁人事二課の環敬吾が率いる影の特殊工作チーム。そのメンバーのある者は私立探偵であり、托鉢僧であり、また肉体労働者である。今回の彼らの任務は、警察組織が鶏鳴し得なかった、自称・ジーニアスが企てた巧妙な誘拐事件。『症候群シリーズ』第二段。再び現代の必殺仕置人が鮮やかに悪を葬る!



誘拐サスペンスものの傑作。


シリーズ前作「失踪症候群」に比べ、一気に事件と扱うテーマがスケールアップ。思わず一気読みしたくなる傑作ですよこいつぁ。前作よりもさらに「法で裁けぬ悪を裁く」を追求し、ラスト近くでそれがどかんと炸裂するくだりはカタルシス満載で実にナイス。つーかやりすぎです貴方達。


救われているのか救われていないのか、微妙に判断するのに困るラストシーンが大層印象的なのですが、ここで扱ったテーマがシリーズ最終巻「殺人症候群」へ繋がるため、この作品を読んだ貴方は問答無用で殺人症候群を読まなければならないわけです、やったぁ。(何がだ)


エンターテインメントしていながらも、伝えるべきテーマを持つ骨太の1品。面白かったなぁ!