小説感想 ドン・ウィンズロウ「ウォータースライドをのぼれ」




恋人カレンとの幸せな日々に邪魔が入った。養父グレアムがやって来たのだ。「じつに簡単な仕事でな、坊主」 健全さが売りの人気TV番組ホスト、ランディスによるレイプ疑惑。その被害者をまともな証人として通用するよう、英語をキチンと教え磨き上げ、説得力あるそれなりの女に仕立てあげろ、それがニールの任務だ。ランディスの無謀な事業拡大阻止を望む大株主が彼の失脚を狙って、かの朋友会に依頼してきたのだ。世にも奇天烈な英語教室が始まった。彼女の口封じを狙うラ
ンディス、彼女を売り出して一儲けを考えるポルノ雑誌、様々な思惑が絡みあうポリーゲート事件の顛末。


「三百万で自白なし」ニールはポリーに条件を伝えた。
「ひん曲がりちんこ」と、ポリー。
「申し出は却下されたようです」



さすが東江一紀スラングを訳させればピカイチですな。


「ストリート・キッズ」よりは「高く孤独な道を行け」っぽい雰囲気の作品かな?「高く孤独な道を行け」があまり気に入らなかった方にはオススメできないかもだ。


本作は何だかもう、今までのシリーズ展開が嘘のよーなお気楽展開。全体的にコメディちっくとゆーか、ユーモア部分のみが特化していると言いますか。「ストリート・キッズ」や「仏陀の鏡への道」で感じられた切なさ大爆発的な展開はまったく存在しませんので、ストーリーとしてはちょっと軽いかなぁ、と思いました。


つーか本作、一歩間違ったら世紀のバカミスヴードゥー・キャデラック」みたいになるところだったんと違うか?(それはそれでよかったかも知れないけど)


十分に面白かったと思いますけど、「ストリート・キッズ」「仏陀の鏡への道」と比べると落ちるかなぁ、と。シリーズファンの方は必須、そうでない方は「ストリート・キッズ」からどぞ。