小説感想 鯨統一郎「新・世界の七不思議」



新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)


来日中のペンシルバニア大学教授のジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。同じく歴史学者である早乙女静香と京都へ旅行しようとしてはキャンセルの憂き目に遭い、毎晩うらぶれたバーで飲むことに。しかし、バーテンダー松永の今日する酒肴に舌鼓を打ちつつ聴く宮田六郎と静香の歴史検証バトルは、不満を補って余りある面白さであった。アトランティス大陸ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの箱舟始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像───七つの不思議を俎上に載せ、常識を覆す新解釈を披露。好評嘖嘖たる奇想天外なデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、ここに登場!



な、なんだってー!と驚愕すること請け合いな高短編集。


歴史ミステリの新境地とも言うべき『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編。今回は世界の名だたる謎を相手に宮田六郎が大暴れ。作中で披露される既説、珍説をベースに、「おいおいそれが真実だったのかよっ!」と納得してしまいそうな新説が次々に展開されます。


個人的には「始皇帝の謎」と「ナスカの地上絵の謎」についての解釈がツボでした。ナスカの地上絵はホントにこの説が正解なんじゃないの?(作者オリジナルかどうかは知りませんが…)


良質のミステリでもあり、かつ歴史のお勉強にもなるという一石二鳥のナイス作品。ミステリファン以外にも、広く読んで欲しい作品です。いやー良かった。(『邪馬台国はどこですか?』もかなりの傑作なのでそちらも要チェキだっ!)