小説感想 米澤穂信「春季限定いちごタルト事件」



春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)


小鳩くんと小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに二人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の二枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか?『さよなら妖精』の著者が新たに放つ、コメディ・タッチのライトなミステリ。



東京創元社お得意の、「日常の謎」連作ミステリ。


米澤穂信は初トライ。ライトノベル出身、と言う程度の知識しか持ち合わせていなかったのですが…今年になって異様に名前を聞くようになったので、どんな作風なのかと気になってまして。創元の本なら露骨なラノベ風味、ってこともなかろうよと思い読んでみた次第。


おおぅ、結構面白い。


思っていたよりすんなり読めたし、何より作中で微妙に名探偵批判やっているあたりが好感触。ミステリ要素も「おいしいココアの入れ方」「はらふくるるわざ」を筆頭に日常系らしい謎が楽しめたし。(「おいしいココアの入れ方」は日常系ミステリでもかなり高ランクのデキだと思います)


できれば最終章「孤狼の心」で、各作品がもうちっとリンクすればなぁ、と思ったのですがそれは欲張りすぎか(;´Д`)