小説感想 ジョン・ロード「見えない凶器」



見えない凶器 世界探偵小説全集(7)

見えない凶器 世界探偵小説全集(7)


帰宅早々、予期せぬ伯父の来訪をきかされたソーンバラ医師は、洗面室に入った伯父に声をかけたが返事はなかった。ただならぬ気配に胸騒ぎを感じた医師が、居合わせていた警官とともにドアを破ると、伯父は頭部を打ち割られ倒れていた。室内に凶器らしきものはなく、ひとつしかない窓は環視のもとにあった。密室状況下、犯人は如何にして出入りしたのか、また如何なる凶器が用いられたのか。犯行手段が解明できないまま事件は迷宮入りと見えたが…。
冷徹に計算された完全犯罪に挑む、科学者探偵プリーストリー博士の名推理。



コッテコテの本格。


生涯に140冊以上のミステリを刊行しながらも、日本では殆ど翻訳されていない作家ジョン・ロード
つーわけでもちろんロード初トライなわけだったのですが、これが思った以上の収穫でした。


いやまあ、タイトルにもなっている作中の「見えない凶器」の正体がバレバレであるとか、犯人があまりにもマヌケすぎるとか(大胆すぎ。もうちょいと慎重に行動しろよ)、そりゃツッコミどころもありますけどね(;´Д`)


なんつーか中期のカーに通じるものがあり、独創的なトリック(バレバレですけど)とかトリックを生かすためのプロットの組み立て方など、古典探偵小説としては十分な及第点をあげられるものと思いますよ?
カーと比べると登場人物間の繋がりが酷くアッサリとしていますけどねん。(キャラはトリックに奉仕する為だけの存在で十分、といった感じを受けました)


とりあえず他の作品も読んでみたいので、翻訳してやってください出版社様!