小説感想 クライド・B・クレイスン「チベットから来た男」



チベットから来た男 世界探偵小説全集(22)

チベットから来た男 世界探偵小説全集(22)


収集家として知られるシカゴの大富豪メリウェザーは、ある日訪れた東洋帰りの男から、チベットの秘伝書を買い取った。その聖典には、神秘の力を得る奥義が記されているという。しかし、男はその夜ホテルで何者かに絞め殺され、犯人と目される髭の男は煙のように消え失せていた。おしりもシカゴには、失われた秘伝書を探し求めて世界を半周してきたラマ僧が到着していた。やがてメリウェザーの周辺にも、秘伝書の消失、謎の卍の出現と不可思議な事件が発生、そして雷雨の夜、密室状態の美術室でついに悲劇が起った……。
カー、クイーン、ヴァン・ダインに匹敵するアメリカ本格派の驍将クレイスンの本邦初紹介。



雰囲気最高ーッ!


これですよ!カーに勝るとも劣らない、このオカルトじみた内容。事件を起こしてくれと言わんばかりのメリウェザー邸の構成から、怪し過ぎるにも程があるチベットラマ僧に至るまで、全てがワシの好みで大満足です。


…ま、まあ確かにちょっと強引なストーリーとか肝心かなめの密室トリックがちょっと小粒とか突っ込みどころはありますが(;´Д`) 作品の雰囲気が余りにも素敵過ぎるゆえワシは全て許す。


つーか殺人実行中のシーンを思い浮かべるとちょっと笑ってしまったのですが、これはひょっとしてバカミスとしても十分通用するんじゃなかろーか。全編チベットづくしってのもある意味バカミスっぽいし。(偏見です)


これが本邦初訳だそーですが、他にも面白そーな作品(「Blind Drifts」)とかある模様なので訳して欲しいなぁ。どーですか出版社さま!…ってもう訳されてたらどーしよ(;´Д`)