小説感想 グレッグ・イーガン「宇宙消失」



宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)


2034年、地球の夜空から星が消えた。冥王星軌道の倍の大きさをもつ、完璧な暗黒の球体が、一瞬にして太陽系を包みこんだのだ。世界各地をパニックが襲った。球体は<バブル>と呼ばれ、その正体について様々な憶測が乱れ飛んだが、ひとつとして確実なものはない。やがて人々は日常生活をとりもどし、宇宙を失ったまま33年が過ぎた───。ある日、元警官のニックは、匿名の依頼人からの仕事で、警戒厳重な病院から誘拐された若い女性の捜索に乗りだした。だがそれが、人類を震撼させる量子論的真実に結びつこうとは……!新鋭作家が描きだす、ナノテクと量子論がもたらす戦慄の未来。



す、すげぇー!


ミステリ・SFファンにはお馴染み「シュレディンガーの猫」をテーマとしているんですが、このアイディアがありえないくらいに秀逸。「我思う、故に我在り」のデカルト思想がある意味木っ端微塵だし(;´Д`) どのくらい凄いのかは…読んでのお楽しみってことでひとつ。(だって一瞬でネタバレになるんだもんよ)


量子論は「大学時代にそーいや勉強したよなぁ」的記憶しか生憎持ち合わせていないのですが、その程度の知識でも割とわかるような内容になっていますゆえ(解説がまた秀逸です)、「難しそうだからちょっとねー」という方にも読んで欲しいところ。


つーかコレだけの大ネタを仕込んでおきながら、割と地に足のついた結末に持っていくあたり肩透かしを喰ったとゆーか、巧く大風呂敷を畳んだなぁとゆーか(;´Д`)