小説感想 T・J・ストリブリング「カリブ諸島の手がかり」



カリブ諸島の手がかり 世界探偵小説全集 (15)

カリブ諸島の手がかり 世界探偵小説全集 (15)


南米の元独裁者が亡命先のキュラソー島で食事中、ホテルの支配人が毒殺された。休暇で西インド諸島に滞在中のアメリカ人心理学者ポジオリ教授が解き明かす皮肉な真相「亡命者たち」。つづいて、動乱のハイチに招かれたポジオリが、人の心を読むヴードゥー教司祭との対決に密林の奥へと送り込まれる「カパイシアンの長官」。マルティニーク島で、犯人の残した歌の手がかりから、大胆不敵な金庫破りを追う「アントゥンの指紋」。名探偵の名声大いにあがったポジオリが、バルバドスでまきこまれた難事件「クリケット」。そして巻末を飾る「ベナレスへの道」でポジオリは、トリニダート島のヒンドゥー寺院で一夜を明かし、恐るべき超論理による犯罪に遭遇する。多彩な人種と文化の交錯するカリブ海を舞台に展開する怪事件の数々。<クイーンの定員>にも選ばれた名短編集、初の完訳。



ポジオリ教授の奇妙な冒険。


カリブ諸島を舞台とした連作ミステリなのですが、収録作最後の「ベナレスへの道」があまりにもインパクトありすぎて他の作品の印象が霞んでしまいました(;´Д`) 何なんですかこの異色っぷりは。思わず「えええーっ?」と口走ってしまったじゃないですかっ。


でもこーゆーのは大好きだ。ラブ。


犯人の動機も素敵ですけど、想像すると怖すぎるラストが超秀逸。この「ベナレスへの道」を読むだけでも十分に価値があると思いますよ?この奇妙な読後感はぜひ味わって欲しいところ。


倉阪鬼一郎の翻訳が冴え渡るナイス短編集、未読の方は是非に。