小説感想 フィリップ・マクドナルド「Xに対する逮捕状」



Xに対する逮捕状 世界探偵小説全集 3

Xに対する逮捕状 世界探偵小説全集 3


シェルドン・ギャレットはふと立ち寄った喫茶店で二人連れの女の奇妙な会話を耳にした。どこかで、何か恐るべき犯罪が計画されているらしい。この雲をつかむような事件を持ち込まれたゲスリン大佐は、残されたわずかな手がかりをもとに推理と探索を積み重ね、知られざる犯罪者を一歩一歩追いつめていく。しかしゲスリンの懸命の努力を嘲笑うかのように関係者は次々に姿を消し、あるいは殺され、やがてギャレットにも魔の手が迫った。はたしてゲスリンは事件を未然に防ぐことが出来るのか?サスペンスに富んだ発端、中盤の論理的展開と緊迫のクライマックス。エラリー・クイーンら多くの評者が推奨した、幻の本格派マクドナルドの代表作。



まあこれはこれで。


ハヤカワポケミスから刊行されている「迷路」(割と入手しやすいはず)では、全編書簡で構成するというトリッキーかつガチな本格ミステリでマニアな読者を喜ばせたマクドナルド。本書は「迷路」とは打って変わり、本格っつーよりはサスペンスちっくの内容となっています。


んー、作品が「ゲスリンの捜査っぷり」と「何が行われているのか?のサスペンス性」に比重をおいているので、本格要素を期待して読むと肩透かしを喰うかも。普通の警察小説っぽい感じで読むのがいいかもだ。


あとメインを張るシェルドン・ギャレットが精神を病んでいるとしか思えないほどの行動・言動ぶりなので、生暖かい感情で見守ってやりながら読むのが精神衛生上よろしいかもだ。(この時代のアメリカ人は、イギリス人からかなり偏見を持たれていたよーですな)


まあこんな本に手を出すのは「他人の評価なんて知ったこっちゃねー!読みたい本を読むっ!」という重度の海外ミステリ好きな方だと思いますので、そーゆー方には普通にオススメです。*1

*1:つまり普通のミステリ好きな方には間違ってもオススメできないってことです