小説感想 江戸川乱歩「魔術師」



魔術師 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

魔術師 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)


『蜘蛛男』事件を終えて、休養のために湖畔のホテルへやってきた明智小五郎。彼はそこで客の一人、東京の大宝石商の令嬢玉村妙子に、いつしか憎からぬ感情を抱くようになっていた。が、それも束の間、一足先に帰京した妙子の要請で明智はまたもや事件捜査に乗り出さなくてはならなくなった。しかも今回の相手は玉村一家に異常なまでの復讐心を抱く残虐極まりない怪人<魔術師>であった!犯人の娘と明智の恋、そして名探偵の死……波乱に富む物語は、意外で壮絶な結末を迎える!!初出時の岩田専太郎による挿絵を全点復刻した愛好家必携の書。



誰が何と言おうとワシは大好きだーッ!


もう雰囲気が最高すぎ。
乱歩読み慣れている人ならば「いつもの乱歩ワールド」で片付けられるのかも知れませんけど、ワシは語れる程乱歩は読んでないので、十分にこの乱歩ワールドを堪能致しました。


なんと言っても犯人「魔術師」の復讐に燃える情念が素晴らしい。「復讐なんだから何をやってもいいじゃない!」とばかりにはっちゃける「魔術師」があまりにもステキすぎです。惚れる。


ま、まあストーリーに説得力がない、ミステリ度が大して高くないなどの指摘もあるでしょうけど…。
読んでる最中はそんなこと関係なしに楽しめますので、ベタな古典好きにはオススメしたいところです。