小説感想 ランドル・ギャレット「魔術師を探せ!」



魔術師を探せ! (ハヤカワ・ミステリ文庫 52-2)

魔術師を探せ! (ハヤカワ・ミステリ文庫 52-2)


公爵が亡くなり、棺が作られた。だが、その中に全身藍色に染まった全裸死体が入っていた。死体は主任捜査官のものであり、その色は、黒魔術を信奉し、国家に反逆する古代アルビオン聖教会を暗示していた。とすると、被害者は黒魔術儀式の生贄だったのか?上記「藍色の死体」をはじめ、魔術師だらけのパラレル・ワールドを舞台に、捜査官ダーシー卿とワトスン役マスター・ショーンの活躍を描くSFミステリ3編を収録。



早川書房創立60周年記念リバイバル・フェアで復刊された本書。ワシの実年齢と同じぐらい絶版していた模様、そりゃー入手難易度高いよなぁ・・・。
で、内容はとゆーと。


何でこんな愉快な本が長いこと絶版だったんだっ!責任者出て来いっ!


と言いたくなるぐらいに面白かったです、いやマジに。


本書の特徴はやはりSF要素であるところの「魔術」。「魔術使えば完全犯罪もらくしょーじゃん!」とお思いの貴方!本書は「ミステリ」でもありますので、ちゃんと世界にはルールが存在しているのですよ?よって事件はあくまでも論理的に解決されるのです。何かアイディアだけなら近年の新本格(特に初期の西澤保彦)に近いものがありますな。


海外ミステリに抵抗ない方は是非とも抑えておいて欲しい一品。SF要素はあくまでも味付け程度なので、その辺が引っ掛る人でも問題なく受け入れられると思いますよ?