小説感想 エラリー・クイーン「エラリー・クイーンの国際事件簿」




美味なる犯罪を求めて世界を周遊する名探偵エラリー・クイーン。行く先々で供される珍味佳肴は異彩を放つものばかり。フランスで名警部の秘話に耳を傾け、日本の帝銀事件に仰天し、カジノにまつわる斗柄もない話を仕入れ、聖地エルサレムの未解決事件に真相提示を試みる───。『エラリー・クイーンの国際事件簿』『事件の中の女』の二集に併せて、ハリウッドを巡る摩訶不思議な「テイラー事件」、ファイロ・ヴァンスひいてはエラリー・クイーン誕生の契機となったエルウェル事件を描く「あるドン・ファンの死」を収録。本格ミステリの巨匠クイーンが、実話に取材し周到な手順でデータを提供、以外な真相に導く手練の妙技を見せる。



事実は小説よりも奇、なり。


世界には奇妙な事件がたくさんあるなぁ、というのをしみじみ感じさせる作品。基本的に実話揃いですのでミステリ的にはシンプルな事件が多いのですが…。それだけに、逆に凄みって奴を感じるとゆーか。
特に印象に残ったのが『事件の中の女』編の「夢探偵」で、「ホントに実話っ?」と耳を疑うよーな(実際には読んでるので目を疑うんでしょーが)内容。もはや怪奇小説ですよ!世にも奇妙な物語ですよ!あなたの知らない世界ですよ!


それなりに面白かったです。が、やっぱりクイーンファン向けだろーなコレ。クイーン好きなら手を出してみても、まあ損はしないかな?と思われる作品かと。


本書はエラリー・クイーン名義ですが実際にはリーひとりで執筆した内容*1ですので、濃いファンはその辺を意識して読むと面白いかもだ。

*1:クイーンはマンフレッド・リーとフレデリック・ダネイの二人による合同ペンネーム。一説によると、ダネイがプロット担当、リーが執筆担当だったらしく。つまり本書は、ダネイの力を借りずリーが単独で書いた本となります