小説感想 東野圭吾「容疑者Xの献身」



容疑者Xの献身

容疑者Xの献身


天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、アパートの隣人で弁当屋に勤める花岡靖子を密かに思っていた。靖子と娘が前夫を殺害してしまったと知った彼は二人に力を貸すと申し出る……。愛した女を守るため完全犯罪を目論む石神。だが、大学の友人であった「探偵ガリレオ」こと湯川が事件に介入したことで…。



倒叙ミステリの大傑作だっ!


真相が明らかになった瞬間、「ええええーっ?!」としばし驚愕。何ですかこの大胆なミスディレクションは。カタルシスとはこーゆーものだっ!という良いお手本のよーな内容。超サプライズ。超ステキ!


とまあ、ミステリ的仕掛けもバッチリ炸裂している本書なのですが…。そこは東野圭吾、小説としても高グレードな仕上がりで、まったくもってケチの付けようがありませぬ。倒叙ミステリの醍醐味であるサスペンス要素も、これでもかっ!とばかりに楽しめますし。冒頭からラスト1行まで、実に充実した読書体験が送れるでしょう、いやほんと。


タイトル・本の帯を見る限り、ベタな恋愛要素がメインかと思われますが…。むしろ恋愛要素は少なめ。異様に淡々と話が進行していくので、「恋愛話はちょっと…」という方でも安心の逸品です。


というわけで、大傑作なので未読の方はさっさと読みましょう。コレをオススメせずに一体なにをオススメしろとゆーのかッ!いやない。(反語)