小説感想 マイケル・イネス「アプルビイズ・エンド」



アプルビイズ・エンド (論創海外ミステリ)

アプルビイズ・エンド (論創海外ミステリ)


異端キリスト教ドストエフスキーティラノサウルス、競馬、人工呼吸。これらに共通するものをアプルビイは見いだせるのか?アプルビイが立ち寄った館で起きる奇怪な事件───館の先代によって書かれた小説が現実のものとなる……交錯する現実と小説。<新本格派>の巨匠イネスが贈る芸術一家の謎。アプルビイと最愛の妻ジュディス、運命の出会い。ふたりのなれそめが、いま明かされる!
マイケル・イネスの未訳傑作、英国流ユーモア怪奇ミステリここに刊行!



ストップ・プレスよりも好きかもだ。


まあ粗筋見てもらえばわかると思うんですが、「ストップ・プレス」と同じネタを扱ってるんですよねコレ。英国の原書では「ストップ・プレス」の方が早く刊行されていますので、ぶっちゃけネタの使いまわし的作品なわけですが(;´Д`)


まあ基本ネタは同じでも、着地点はさすがに「ストップ・プレス」とは異なってます。
「ストップ・プレス」よりもかなり短い分量なのですが、その分展開が早いので間延びすることなくラストまで一気に事件が進行する為、イネスの暴走ノンストップぶりはこちらの方が楽しめるかも。(書き込みが足りない、と思われる方もいらっしゃるでしょーけど…)


基本的にバカミスに分類されるべき内容ですので、「なんじゃこのオチはーッ!」と激昂してはいけませんぜ。「イネス狂ってるなぁ」とニッコリ笑って本書を閉じるのが、たったひとつの冴えたやり方だと言えましょう。つーわけでバカミス耐性をお持ちの方にオススメかな?


でも、正直「読んでおかないと損する」というレベルの内容じゃないと思いますけど(;´Д`)






あ、あとどーしても突っ込んでおきたいところがひとつ。劇中、アプルビイのセリフから。

「もちろん、ミス・レイヴンとそれほど話をする時間があったわけじゃない。しかしだね、彼女と私は婚約したと言っても差し支えない状況のようだ」

えーと、アプルビイさん?劇中でいつそんな話を?
(ワシが読み落しているだけなんだろーか…?)