小説感想 古川日出男「アラビアの夜の種族」
- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
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破滅と官能とがもたらす、未知なる快楽
聖遷歴1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。
訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。
対抗する術計はただひとつ、
読む者を狂気に導き、
歴史さえも覆す一冊の書───
奇蹟のエンターテインメント小説。
寝食を忘れるどころか、トイレに行くことすら億劫に思えるほどに夢中になって読みました。終章が近くなってからは、「読了するのが勿体ないから読みたくない、でも続きが気になるから読み進めたい」という自己矛盾を抱えて苦悩しながら読んでましたよ(;´Д`)
ジャンル的にはファンタジー……というかですね、ぶっちゃけどう見てもウィザードリィ*1です。本当にありがとうございました。*2 古川氏自身もどっかのインタビューで「ウィズを意識した」みたいなこと言ってたし、また古川氏の畏友であるベニー松山氏もこんな文章書いてるしね。
http://www.bent.co.jp/main/news/20011231.htm
別にウィザードリィ知らなくても極上のエンターテインメント小説としてばっちり楽しめますよ?*3でも、知っているとより楽しめるのもまた事実。随所にニヤリとできる演出がされていますので、かつてウィザードリィという箱庭世界を偏愛していた、また今でも偏愛している人には強く強くプッシュしておきたいところ。
恐らくワシの中で永遠のオールタイムベストで在り続けると思われる作品。こんな小説に出会えるから、読書って止められないんだよなぁ、ほんと。しあわせ。