小説感想 山田風太郎忍法帖短編全集3「忍法破倭兵状」




『朝鮮水軍統制使李舜臣の「破倭兵状」、すなわち日本軍を破った戦闘報告書の一つである』悪名高き秀吉の朝鮮出兵。正体不明、無敗の朝鮮軍の大将「沙也可」と日本の忍者「狐」が手を結び狙うは太閤の命、ただ一つ。───史実と忍法が見事に融合した表題作を含む快作七編。



説明無用の面白さ。


いつもながら山風のイマジネーションっぷりには脱帽するしかないっつーか、ぜってー狂っているよなぁとしか思えない内容なのですが(;´Д`) ですけれども何度でも言いましょう、だがそれがいいと。


つーかですね、本書の1作目に収録されている短編「忍法鞘飛脚」の冒頭がかなりキていると思います。ゆえにちょっと引用してみましょう、こんな感じ。

私はインテリ忍者である。忍者中の文化人である。
従って、私はいわゆる忍法なるものを信じない。むしろ嫌悪する。いや、ぜんぜん知らないのである。



もうワシこの時点でハートをがっしりと鷲掴みされまして(;´Д`)
「インテリ忍者」という時点で既にどーかと思うのですが、忍者のくせに忍法信じないってゆーのはどーなのよ、と。この「さあ突っ込め!」と言わんばかりの文章、さすが山風。素敵すぎる。


まあ収録作は上記のよーな作品ばかりではないのですけれども、極上のエンターテインメント作品には違いありませんので、忍法帖に触れたことない人は読んでみると新たな世界が広がるかもしれません、たぶん。(山風ファンは言わずもがな、でしょ)