小説感想 北野勇作「かめくん」



かめくん (徳間デュアル文庫)

かめくん (徳間デュアル文庫)


かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。ほんものではないが、ほんもののカメに姿が似ているから、ヒトはかめくんたちのような存在をカメと呼んでいるだけなのだ。だから、カメではなく、レプリカメと呼ばれたりもする。───「木星戦争」に投入するために開発されたカメ型ヒューマノイド・レプリカメ。「どこにも所属していない」かめくんは、新しい仕事を見つけ、クラゲ荘に住むことになった。しかしかめくんはかめくんであってかめくんでしかないのだった……。
異才が描く空想科学超日常小説。



かめくん萌え。(待て)


レプリカメであるかめくんのありふれた日常を描いた、まさに日常小説の名に相応しい内容。しかし扱われているテーマは割とディープと言いますか、かる〜く流すにはちょっと重たいんですよね。(さすが日本SF大賞受賞作と言うべきかにゃ)


最終章「亀手紙」にはガツンと一撃食らわされたと言いますか、ああもう何ですかこのラストの美しさはっ!日常が終わってしまうんだなぁ、という余韻をめっちゃ残してくれやがりましたよ。もう大好き。


とはいえ、扱っているテーマとか小ネタがイマイチよくわからなくてもっ、かめくんの日常はネタだらけですので、それだけで十分に楽しめること請け合い。リンゴで興奮し、猫の肉球と戯れるかめくんが愛しすぎる。


つーわけでですね、SF苦手な人でも大丈夫ではないかと思われますので、興味を持たれた方は是非に。面白かったですよっ!