小説感想 菊地秀行「インベーダー・ストリート」



インベーダー・ストリート (ソノラマノベルス)

インベーダー・ストリート (ソノラマノベルス)


すべての記憶を失った人類に何が残されているか。それを知るために、ワタルは廃墟と化したかつての巨大な文明国アメリカ横断の旅に出た。そこにはなお生き続ける人々の営みがある───「風の名はアムネジア」。


夏の日の午後、校庭に現れた少女は一瞬にして男子生徒の心を虜にし、若者たちは切ない想いを異世界の色彩と言語で伝えはじめた。侵略者は白い少女の姿をまとって訪れたのだ───「インベーダー・サマー」。


傑作青春SF二作を収録。



菊地秀行の第3作「風の名はアムネジア」と第4作「インベーダー・サマー」の合本です。前者はOVA化しているらしいので、名前程度は知っているよん、という方も多いかもだ。(ワシも名前程度は知ってました)


で、感想なんですけれども。


収録された2作ともに「異世界からの侵略者」というテーマを扱っているんですが…。まあ、結末がものすごく対照的なコト。「風の名はアムネジア」は割と希望あふれるラストだったのに対し、「インベーダー・サマー」の方はちょっと大変なことになっていると言いますか(;´Д`) …いや、作者自らが「叙情をメインに据えた」と言うだけあって美しいエンディングには変わりなんですけれども。


どっちも結構楽しく読んだのですが、あえて挙げるならば「インベーダー・サマー」の方がお気に入りかにゃー。「風の名はアムネジア」はロード・ムービー風の話だったゆえ、長編の皮を被った短篇読んでるっつーか、あんまり深い話じゃなかったので少々喰い足りない感じがしたし。「インベーダー・サマー」は萌え展開など欠片もないハードっぷりがステキ極まりなく、印象的なラストが気に入りまして候。


合本で復活、とゆーだけあって両作ともに面白かったですよん。気になる方はチェックされたし。


あ、エロス&バイオレンス要素はまったくありませんので、その辺を期待して読まれるとガッカリすること請け合いですが(;´Д`)