小説感想 エドマンド・クリスピン「愛は血を流して横たわる」



愛は血を流して横たわる 世界探偵小説全集(5)

愛は血を流して横たわる 世界探偵小説全集(5)


美しい女子生徒の失踪、化学実験室の盗難事件と終業式を前にあいつぐ不祥事に校長は頭を悩ませていた。しかし、終業式前夜、この学園の小さなミステリは、突如として教員の二重殺人事件へと発展した。来賓として居合わせたオックスフォード大学の名探偵ジャーヴァス・フェン教授は協力を請われ、さっそく事件現場へ急行、酸鼻な犯行に目を見張った。さらに翌日、郊外のあばら家で第三の死体が発見され、事件はますます混迷の度を深めていった………。連続殺人、失踪事件、シェイクスピア原稿の謎と、息もつがせぬ展開の底に流れる不気味なユーモア、錯綜する論理と巧みなサスペンス。ポスト黄金時代を代表する本格派クリスピンの最高傑作。



王道も王道。


タイトルからすると恋愛要素が題材のよーに思えますが、さにあらず。単に洒落を利かせたタイトルでありますゆえ、タイトルから「探偵小説に恋愛要素はちょっと………」と敬遠していた頑迷な原理主義者も安心して読める、王道も王道、真っ向勝負の古典本格ミステリです。


特に吃驚するよーな大トリックが仕掛けられていたわけではないのですけれども………。女子生徒失踪、化学薬品の盗難、3つの死体、失われたシェイクスピア原稿とイベント盛りだくさんの内容ですし、またそれぞれの事件における関連性を見出していくあたりは中々にスリリングでしたゆえ、古典好きとしては非常に楽しめましたとです、はい。つーか犯人が判明するくだりが異様なまでのスラップスティックぶりで、まるでドリフのコントを見ているかのよーな印象を受けたのですけれども(;´Д`)


王道の古典本格ですので、その手の作品が好きな方は是非に。クリスピンはこれが初トライだったのですが、このグレードならば他の作品も期待できる予感っ!