小説感想 古川日出男「ロックンロール七部作」



ロックンロール七部作

ロックンロール七部作


謎の語り手"あたし"がまことしやかに語るのは、
百年/七大陸に及ぶ「ロックンロールの流転」。
「ロックなるもの」に邂逅した人間たちが織りなす、
パワフルでポップな20世紀神話。


───君は誰なんだ?



とりあえず古川日出男は天才だと思いました。


「ベルカ、吼えないのか?」が犬による20世紀の再構築とするならば、本作はロックンロールによる再構築と言うべき内容。ロックの歴史で近代史を紐解くっつーと何だか小難しそうに思えますが、独特の文体とリズムによるエンターテインメント小説としてさらりと読めてしまいます。あら不思議。


表紙も中のページ構成もチープ感が漂う作りなんですが、中身は超ロックですよこれが。初っ端の1部、「曇天」が砂漠の中で己のロックに出会うシーンは鳥肌ものっつーか脳天直撃で100メガショックっつーか(;´Д`) 独特の文体と文章のリズムが非常に心地よく、どっぷり世界に浸って一気読みですよ。それはもう貪るように。


大変気に入りましたので広くオススメしたいところですけれども、文章に癖があるので受け入れにくいって人も多いだろーなぁコレ。1部だけでも立ち読みしてもらえれば感じが掴めると思うけれども。


つーか各地で言われているよーですが、第五部の「プレスリーでインドを騙る」っつーのは流石に無茶すぎだと思います(;´Д`) (でもちゃんと騙れてる、すげぇ!)