小説感想 テリー・ビッスン「ふたりジャネット」



ふたりジャネット (奇想コレクション)

ふたりジャネット (奇想コレクション)


サリンジャー、ピンチョンら有名作家たちが続々と田舎町に引っ越してきた?英国が船みたいに動きはじめた?万能中国人がヘンテコな数式で事件を解決?そんなばかな話ってある?


奇想とユーモアとペーソスに満ちた摩訶不思議な短篇集。


"奇想コレクション"第3回配本は、本邦初のテリー・ビッスン短篇集。ときにR・A・ラファティやカート・ヴォネガットに比される、屈指の技巧派にして短篇の名手ビッスンが描く物語は、まさに現代の<ほら話>。
九十年代を代表する名作ファンタジー「熊が火を発見する」をはじめ、ロマンティック・コメディ「未来からきたふたり組」、盲目の画家が死語の世界で見たものは・・・「冥界飛行士」、<万能中国人ウィルスン・ウー>3部作「穴のなかの穴」「宇宙のはずれ」「時間どおりに教会へ」など、全9篇を収録。



たいていの人間は心にホラのタガがあるッ!
そのため思い切ったホラが吹けんッ!
すばらしいホラ吹きへの恐れがあるのだッ!
だが!ごくまれにホラのタガのない人間がいる…ホラ吹きのエリート!
テリー・ビッスン……君がそうだ……。







えーと、つーわけで奇想が炸裂しまくったナイスな短篇集でした。ちなみに本書、「本の雑誌」が選ぶ2004年の海外文学でベスト1を獲得しています・・・・・・・・・まったく、こんな狂った本を1位に選ぶなんて、「本の雑誌」の読者は頭がおかしいんじゃなかろーか。(注:もちろん誉めてます) いやはや、「本の雑誌」の読者はまっこと出来ておる喃・・・ッ!


ジャンル的にはSFに分類されそーなのですけれども、SFっつっても「すこし ふしぎ」的SFなのでそんなに構えずに読むことはできると思います。読むための敷居は低いと思われますが、基本的にくだらねーネタばかり(注:ゆーまでもなく誉めてます)の短篇集なので読み手によっては「何コレ?心底くだらねーよ!海外文学わけわかんねー!」的印象を持つかも?(その場合は肌に合わないと早々に見切りをつけませう)


ワシ的には<万能中国人ウィルスン・ウー>3部作がとっても気に入ったので、実に愉快な読書ができました。読んでてクスクス笑いが止まらない、実に狂った内容なのでバカミス(バカSF?)好きには「こーゆーのもあるよ」とオススメしておきたいところ。ワシは大好きっすよ、こんな話。ええ、ゆえに大好きです本書。