小説感想 パトリック・クェンティン「悪女パズル」



悪女パズル (扶桑社ミステリー)

悪女パズル (扶桑社ミステリー)


大富豪ロレーヌの邸宅に招待された離婚の危機を抱える三組の夫婦。仲直りをうながすロレーヌの意図とは裏腹に、屋敷には険悪な雰囲気がたちこめる。翌日、三人の妻の一人が、謎の突然死を遂げたのを皮切りに、一人、また一人と女たちは命を落としていく・・・・・・。素人探偵ダルース夫妻は、影なき殺人者の正体を暴くことができるのか?『女郎ぐも』『二人の妻をもつ男』の著者の初期を代表する「パズル」シリーズ第四作、ついに本邦初訳。探偵小説の香気を、とくとご堪能あれ。



海外古典黄金期の香気漂う、ど真ん中直球本格ミステリ


トリックらしいトリックは存在しないのですけれども・・・。如何にもな登場人物たちが繰り広げる丁丁発止(とゆーほどでもない)のやりとりより生じるサスペンス性、女性ばかりが狙われる連続殺人、犯人特定に至るプロセス、犯人の動機、その全てが絶妙に融合してましてですね、完成形を眺めてみればケチのつけよーがない見事な本格ミステリとなっておりましたとですよ。


つーか個人的にツボだったのが某キャラの事件における絶妙な関わり方だったのですが・・・。うーん、ネタバレしなきゃちょっと書けないよな、これは(;´Д`) ミスディレクションっぷりっつーかレッド・ヘリングの見事な泳がせっぷりとゆーか。うぉーネタバレしてぇー!(止めなさい)


兎に角、こいつぁまっこと良き探偵小説ですゆえ、海外好きのみならず本格ファンは要チェックですぜ。






補記1:本作では見事なオシドリ夫婦っぷりを見せつけたダルース夫妻ですが、シリーズ進むと奥さんが男作ったり旦那が少女にのめりこんだりと、かなりの修羅場を迎える模様。すげぇ読みたいので是非訳出を。




補記2:シリーズ作『巡礼者パズル』『悪魔パズル』は論創社から出版が決定している模様、よし買うぞ。