小説感想 ウィル・セルフ「元気なぼくらの元気なおもちゃ」
- 作者: ウィル・セルフ,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (37件) を見る
洒落た悪ふざけか、洗練された悪趣味か?
壁の中のコカイン。害虫との共同生活。異性恐怖症者が飼う巨人。刑務所の創作教室・・・退屈な通俗性を揺さぶり、ツマラナイ日常をひっくり返す、現代イギリスを代表する奇才の本邦初短篇集。
あの天才J・G・バラードに「傑物」と評された異色中の異色作家、ウィル・セルフ。ジョナサン・スウィフトにもなぞらえられる大法螺と風刺とひねた文章で、現代を愚弄し嘲笑する───あまりに奇才、あまりに奇抜で特異な作家の、本邦初短篇集。"奇想コレクション"第9回配本。
病んだ男たちの立場が朦朧と逆転していく表題作、生々しいクラック体験の行き着く果てを描いた「リッツ・ホテルよりでっかいクラック」、気味の悪さを芸術的なまでに高めた「虫の園」、荒唐無稽な現代の法螺話「ヨーロッパに捧げる物語」、ウィル・セルフ真骨頂「やっぱりデイヴ」ほか、全8篇を収録。
へんてこ。
もうこれしかないっすよ、感想(;´Д`)
いや面白くないわけではないですよ?むしろワシは好きですぜ。つーか大声で大好きだと叫びたいぐらい本書にラブなわけなのですよ。が、そんなワシでもちょっと困惑してしまうほどのへんてこぶりを発揮しているわけです、この本。(つーか本書をふつーに受け入れられる人はかなりのツワモノだと思う)
後味がいいのか悪いのか、裏があるのか何もないのか、何か意図があってこのオチにしたのか、それとも「え?だって普通のオチじゃつまんねーじゃん」とゆーだけなのか、とにかくありとあらゆる意味で読者の期待を裏切る内容ばかり。唯一の例外は「虫の園」だけかっ?これだけは予定調和のうちに収束したけど、でも後味悪い(つーかヴィジュアル化するとグロい)のには変わりないしな。でも一番好き。
「奇想」とゆーレベルではさほどのものではありませんが、とにかくやたらめったらインパクトはある作品ではないかにゃ。奇妙な味わいがありますので、読まれて損はないと思いますけど・・・。