小説感想 ニール・スティーヴンスン「クリプトノミコン」全4巻
- 作者: ニールスティーヴンスン,Neal Stephenson,中原尚哉
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第二次大戦前夜、プリンストン大学に学ぶ青年ローレンスは、数学への興味を同じくする英国人留学生チューリングと出会う。やがて彼らは、戦争の帰趨を左右する暗号戦の最前線で戦うことに・・・それから半世紀、ローレンスの孫ランディもネット技術者として暗号に関わっていた。彼は大戦との因縁深いある策謀に巻き込まれていくが!?暗号をめぐり、二つの時代───第二次大戦中と現代で展開される情報戦を描く冒険SF大作
SFっつーよりもむしろ冒険小説っすな。
ニール・スティーヴンスン初トライだったんですけれども、こちらの予想していた内容をいい意味で裏切ってくれた作品でしたぜ。読む前には「スティーヴンスンと言えばサイバーパンクだろ」とゆー先入観がありまして、そのジャンルに疎いワシとしてはすげー身構えて取り掛かるしかなかったのですが、読みはじめてみてあらビックリ。おいおいミステリ的アプローチの冒険小説じゃねーかよ!
つーわけでいい感じで肩の力が抜けましたので、序盤以降はさくさくと読み進めることができ、クリプトノミコンの世界をたっぷり堪能いたすことができましたとさ。しかし全4巻とゆーかなりの長さなのに、長編読了後特有の満足感があまり感じられないのは何故なんだろう・・・? 内容が小エピソードを次々と構築していく、いわば連作短編みたいな作りになっているため?
中々に凝った作りで、SF者のみならずミステリ者にもお勧めできる作品ではないかと。つーか暗号ですよ宝探しですよしかも戦争ものですよ、その筋の話が好きな人ならばきっと気に入るはず。でも異様に淡々とした感じを受けないこともないので、人によっては単調に感じられ投げ出してしまうかもしれませんが(;´Д`)