小説感想 アントニイ・バークリー「ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎」



ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 (晶文社ミステリ)

ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 (晶文社ミステリ)


ウィッチフォード事件を見事解決に導き、名探偵の盛名あがるロジャー・シェリンガムは、<クーリア>紙の編集長から、ラドマス湾で起きた転落死事件の取材を依頼され、特派員として現地へ向かった。断崖の下で発見された女性の死体は、当初、散歩中に誤って転落したものと見られていたが、その手が握りしめていたボタンから、俄然殺人事件の疑いが浮上していた。警視庁きっての名刑事モーズビー警部を向こうにまわして、ロジャーは自ら発見した手がかりから精緻な推理を展開、事件解決を宣言するが、つづいて第二の事件が・・・。快調シェリンガム・シリーズ第3作。



バークリー・・・なんて恐ろしい子・・・!


訓練されたミステリ読み、かつバークリーの作風(つーかシェリンガムのキャラ性)を知っている人であれば、中盤過ぎあたりで真相が何となく読めると思うのですが。思うのですが!


それでもラストシーンは予想していた着地点の遥か斜め上を行きやがってくれましたですよコンチキショウ。つーかこのネタはありなのか(;´Д`) 近年の多様化した新本格ならともかく、80年ほど前の1927年にこんな探偵小説の彼岸に到達してしまった作品があったとは。お美事!お美事にございまするっ!


ラスト一行の衝撃が忘れられない、愉快極まる探偵小説。みんなもシェリンガムと一緒に事件を推理してみませう、きっと真相でビックリするはずだっ!(たぶんね)