小説感想 マックス・アフォード「魔法人形」



魔法人形 世界探偵小説全集 4

魔法人形 世界探偵小説全集 4


「魔力の存在など信じはしないだろうね」
旧友ロロの言葉にジェフリー・ブラックバーンは目をみはった。高名な悪魔学研究家ロチェスター教授の屋敷で、まるで中世の魔術が甦ったかのような怪事件が発生しているというのだ。死を予告する不気味な人形が、次々に家族のもとに送りつけられ、すでに教授の妹が謎の転落死を遂げていた。教授の秘書を務めるロロに乞われるまま、ロチェスター屋敷に乗り込んだブラックバーンだったが、その到着の朝、邸内の礼拝堂で長男ロジャーの死体が発見される。死体の胸には、予告どおりナイフが深々と突き刺さっていた・・・。回帰趣味旺溢の難事件に挑む名探偵ブラックバーンがたどり着いた意外な真相とは?



怪奇要素が足りん。


シチュエーション的にはパーフェクトといってもいい展開(人形による殺人予告!)なのに、何ですかこのあっさり感は。「たたりじゃ!ロ、ロチェスター家のたたりじゃぁ!」的展開を期待していたのに、こーまでスルーされてしまうとちょっと物足りないっすよ。その点ではちょい不満。


でもそれ以外は概ね満足っす。登場キャラがストーリーを進める上での単なるコマ扱いであるのも、犯人があまりにもバレバレであることもご愛嬌のうちっしょ。(ここまで割り切られると逆に清々しい) つーか犯人の見当がついても、それで興味が失われるよーな構成にはなっていないのはちょっと凄いな。証拠集めとか、犯人の動機とか含めて最後まで楽しめましたよ。


ま、トータル的には良作と言えると思いますけれども、そんなに無理して読まなくてもいいかな?ってのが正直なところ。海外古典ミステリ好きなら手を出してもいいかもだ、って感じっす。