小説感想 荒山徹「柳生雨月抄」
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/25
- メディア: 単行本
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朝鮮の陰謀からこの国を守れ───
柳生十兵衛をも凌駕する新陰流の遣い手にして、後水尾天皇の陰陽師・柳生友景と、朝鮮王率いる「征東行中書省」との凄惨極める妖術戦、そして朝鮮柳生との息を呑む剣戟が今、幕を開ける!
狂気極まる伝奇小説・・・でも内容は骨太の正統派。
荒山徹を読む前に言っておくッ!
ワシは今やつの小説をほんのちょっぴりだが体験した
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『ワシは伝奇小説を読んでいたと思ったらいつのまにか怪獣小説を読んでいた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うがワシも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
韓流だとか嫌韓流だとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
・・・だってモスラが朝鮮妖術師の使い魔として出てくるんですよ?あと朝鮮の剣士としてアンドレとかオスカルとかも登場するんですよ?ネタ濃度が強すぎるにも程があるってーものです。だが それが いい。 まったく、荒山徹の小説は地獄だぜフゥハハハーハァー!
と、要素要素のネタ要素が激しく強いんですが、実は伝奇時代劇作品としてはかなり骨太の内容であったりするのです、本作。明らかにやりすぎ気味としか言いようがない荒山氏の暴走ストーリーテリングっぷりがステキ極まりないのは勿論なのですが、かつまたその内容が奇想を奇想でゴリ押しするよーな「面白けりゃいーやんけ」的アイディアの連発である時点でああもう辛抱たまらんわけですよもうっ!
とにかくこの狂気の暴走ストーリー、最後まで読み終えてみれば「愛があり哀しみもあり、実によく訓練された伝奇小説であったことよ」と、とてもイイ笑顔を浮かべて「何かコレ、ワシのために書かれた本じゃね?」とあらぬ錯覚を抱いてしまうほどの愉快極まりない内容であることはワシが保証いたします。伝奇小説スキーのみならず、ありとあらゆる読書好きにお勧めしたいステキ小説。まさしく脳天直撃荒山徹。とっても面白いですぜっ!さぁさぁ未読の方は是非是非。
ちなみに、本書は文庫化された「十兵衛両断」収録の「太閤呪殺陣」の続編ってことになっていますので、そちらを読了しておく方がより楽しめますぜ。そちらも合わせてどぞ。