小説感想 ノーマン・ベロウ「魔王の足跡」



魔王の足跡 世界探偵小説全集 (43)

魔王の足跡 世界探偵小説全集 (43)


1855年2月8日、悪魔が英国に降り立った。デヴォン州各地で不可思議な蹄の足跡が多数目撃されたのである。それから約一世紀後のある雪の朝、田舎町ウィンチャムに再び悪魔の足跡が出現した。まっさらな新雪に覆われた道の中央に突如現れた蹄の足跡は、あちこち彷徨い歩きながら丘を越え、野原の真ん中にたつオークの木へと続いていた。謎の足跡を巡る一行は、そこで大枝からぶら下がった男の死体を発見する。蹄の足跡は木の傍らで忽然と途切れ、まるで足跡の主が虚空へ消え失せたとしか思えない状況だった。しかも、問題の木には、昔魔女が縛り首になった伝説があるという。怪奇趣味横溢、幻の不可能犯罪派ノーマン・ベロウ、本邦初紹介。



怪奇趣味な本格ミステリではあるけれど・・・。


雰囲気的には十分に怪奇趣味と言えると思うのですけど、「た、たたりじゃ!これは悪魔の仕業じゃ!サタン様がやってくる!サタン様がやってくる!恐ろしやー!」的雰囲気を盛り上げる登場人物が不在&「は?悪魔の仕業?あんた頭おかしいんじゃネーノ?」的ドライな警察の捜査のためか、まったくもって怪奇趣味が感じられないってーのにちょっと失望。事件の不可解さは大変よろしいのですけど、せっかくの美味しいシチュエーションを生かしきれてないのはちょいと勿体ないよなぁ。(ま、これはワシの好みの問題もありますが)


まあそれはそれとして、ワシとしては犯人が弄じたトリックがかなりおバカに思えたので本作をバカミス認定したい所存。トリック実行中のシーンを脳内でビジュアル化すると、とってもシュールな映像が浮かぶと思うがどうか。(ワシだけ?) まさしく素敵トリックはバカトリック紙一重ですな(;´Д`)


ワシとしては十分面白かったと言えるのですが、いかんせん地味〜な内容ですので海外本格ミステリに親しみの無い人にはちょっとツライかもです。昨年の本ベス海外部門1位の作品なのですけど、そこまでお勧めできる作品でもないよーな気が激しくします(;´Д`) 海外系がお好きな人ならノープロブレム問題なし、きっと満足行くっしょ!たぶん。