小説感想 竹本健治「キララ、探偵す」



キララ、探偵す。

キララ、探偵す。


アイドル好きの童貞オタク大学生、乙島侑平は、研究者の従兄弟から新製品のモニターを頼まれた。ところが届いた新製品とは、なんと美少女メイドロボット「キララ」。人間とまったく見分けのつかない超美少女メイドにアレコレご奉仕されてドキドキしっぱなしの侑平。しかも、ふだんは「どじっ娘」メイドであるキララには、スイッチが入るや女王様のように凶暴かつエッチな性格に変貌し、頭脳もおそろしく明晰になる「裏モード」が用意されていて───。あんなコトもこんなコトも・・・!?史上初!美少女メイドミステリー。



この竹本健治、実にノリノリである


「トリックが狂気」だの「動機が狂気」だの、バカミスにも色々とありますが・・・。本作は編集者と作家の暴走がもたらした狂気の一作と言えるゆえ、ワシ的には本書をバカミス認定したい所存。反論は一切受け付けん。(えー)


真相がどーだかは知らんけど、恐らくはこんな感じでこの作品は生まれたんじゃないのかな。

文春編集者(おっさん)


「先生!時代はメイドっすよ!メイドが出てくるミステリ書きましょうよ!
文春連載なんで年配者にも分かりやすい萌え要素を入れて!もちろんエロスも!むっはー」


竹本健治(同じくおっさん)


「えー?萌えなんて感覚じゃなく知識でしかわかんないよ?それでもよけりゃ」



・・・まあ以上はワシの勝手な妄想なんですが、作中の萌え要素が「これ何てエロゲ?」とゆー如何にもなエロゲー(つーか近年よくある美少女ハーレム漫画?)的テンプレートで構築されているんですよ。少なくともワシはそんな印象を受けますた。・・・しかし従兄弟の科学者が男性ってーのは画竜点睛を欠いてるよな。これが女性だったらパーフェクトだったのに。実に惜しい。(何がだよ)


つーわけで王道を行くよーなキャラ設定、とってつけたよーなエロ展開、書いてる中の人は50過ぎのおっさんであるっつー要素が絡みあい、それだけでキワモノ好きなワシとしては結構な笑いを誘うんですが・・・。それプラス、竹本氏が実にノリノリで書いているっつーのが読んでる最中によく伝わってきてさらに面白さ倍増。そりゃー生暖かい笑みが漏れまくりってーものですよ、ええ。かる〜く読めるし、まぁこーゆーのもアリだとは思いますよ?「ウロボロス」の方向性が合わん人でもこれは大丈夫だろう・・・と思う。思うんじゃないかな?まちょっと覚悟はしておけ。


ミステリとしてはフツーにフツーですので、間違ってもガチの本格を期待しては購入しないよーに。あと表紙イラストで衝動買いしてしまった方、ご愁傷様でした。 人によっては十分地雷足りえる作品だとは思いますが、ワシ的には楽しく読めましたよん。