小説感想 折原一「七つの棺」




町内相撲の横綱は体育館の中で、引退した大富豪は書斎の中で、やくざの組長は核シェルターの中で、一本柳家の新郎は離れの中で、女性デザイナーはカプセルリフトの中で、それぞれ殺されていた。しかも現場は、どれもこれも密室状態!?続発する不可能犯罪に挑むのは、関東平野の一隅にある町の警察署に勤務する黒星光、三十八歳、独身。密室の魅力に取り憑かれ、人生を踏み外しかけている迷警部は、いかに難事件、怪事件を解決するのか・・・?奇才折原一の出発点となった記念すべき第一作品集の改定増補版。



全ての密室はバカミスに通ず。


おバカ極まりない超良作短篇集。黒星警部の密室キチガイっぷり、凝った密室、脱力ものの密室などバリエーション豊かなトリック、笑撃のオチ、まさしくどれをとってもパーフェクトでありエレガント、ビューティフルかつワンダフルでありますよ!密室好きで本書を読んでない人はちょっと人生損して・・・・・・否、そこまではないか(;´Д`) ま、とにかく今までスルーしていたワシの不勉強さを深く深く反省する所存。いやー、ほんと勿体ないことしてたなぁ。


収録作7編のうち、ワシ的にもっともツボに入ったのが「ディクスン・カーを読んだ男たち」。有名(?)なウィリアム・ブルテン「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」のパロディ的作品なのですが、ネタ元よりも捻りが効いていて大変楽しめました。あと「懐かしい密室」での作中作『密室の富豪警部』、これで繰り出された密室トリックはワシ的にはありです。(えー) 確かに禁じ手だろーけど、いーじゃんバカだしさ。


大変愉快極まりない短篇集ですので、ワシ的にはかなりお勧め。ミステリって楽しいなぁ。