小説感想 木々高太郎「人生の阿呆」



人生の阿呆 (創元推理文庫)

人生の阿呆 (創元推理文庫)


比良カシウを製造販売し、飛ぶ鳥を落とす勢いの実業家比良良三宅で、無産党の弁護士高岡日出男の射殺体が発見された。捜査の結果、犯行があったと目される日に、比良の長男良吉がシベリヤへ向けて旅立っていることがわかる・・・。本書は、恋と家庭と思想活動に苦悩する良吉の姿を描き、昭和十二年、直木賞を受賞し、著者の作家的地位を確立した作品である。初版の序文で木々は、探偵小説芸術論を提唱し、読者に挑戦状を叩きつけている。満々たる自信を秘めて世に問うた意欲作を、定本版の体裁を活かして文庫化した。



うーん、渋い。


読者への挑戦状が仕込んであるんですが、論理的に犯人が導き出せるか?っつーと返答に思わず困ってしまうんだよなぁこれが。推理の醍醐味を味わうよりも、舞台となった時代の風俗などを味わいながら読むっつー方が楽しいよーな気がします。本格ミステリ風味ではあるけど、どっちかっつーと探偵小説と呼ぶ方が違和感ないかもしれないなぁ。国内古典ならではの、古式ゆかしいクラシック感が肌に合わない人は大人しく敬遠しておく方がいいでしょね。国内古典もばっちこーい、な人なら問題なく楽しめると思いますよん。


・・・でも楽しめるとはいえ、正直そんなに無理して読まなくてもいいと思うんだ・・・(ぼそり)